D.Oの自伝『悪党の詩』を読んだので感想を書く。
ご存知、ギャンングスタラッパーなのに鼻にかかった甲高い声でラップしてどこかユニークなラッパーとして知られる D.Oこと君塚慈容氏の自伝。幼少期から2回目の逮捕までに至るまでに彼に起こった出来事や考えが書かれている。
一人称は「僕」。「オレ」ではないことに若干驚きつつ読み進めていった。「オイラ」とか言いそうなのに。
ギャングスタのエピソード満載でエグい話がいっぱい載っているのかと思いきや、全体としてはその印象は薄い。いや、サグいエピソードはあるのだが、具体的な詳細が省かれていたり、サラっと書かれている。意外なのだが、ギャングスタであるとかそんなことよりもD.O自身が「ラッパー」であるという点を認識させられた(当たり前だけど)。一見ただ悪さをしていて飄々としているように思えるが、その実非常にストイックでビジネスマンであり、前向きに、ひたむきにアーティスト活動を実践しようとしていることがわかった。
漢の『ヒップホップ・ドリーム』の方がサグい話が具体的に載っていた感がある。
中学生時代の「ボンタンのお母さん」、「バスケットマン」のエピソードが大好きだ。
関係ないけど、部活で素晴らしい成績を残しながらサグいことをやっている少年少女って昔から一定数いるけど、あれ何でなんだろうと前から思っている。ヤンキーみたいなことをせずに部活だけ頑張れないのかなぁ、と思う。
この手のアーティストとしては典型的な?「ヤクザになるかラッパーになるか」という2択迫られ、ラッパーになるためにRINOの付き人となったD.O。ヤクザがRINOを紹介したというが、やはりというべきか、RINOみたいな超絶スキルフルなラッパーでもヤクザとの関わりは普通にあったんだなあ。その後雷のメンバーたちの下で修行したがこれがまたなかなか修羅の道。走馬灯とかFUTURE SHOCK(U.B.Gだったかな?)でも若手が下手打つと「雷のところで修行させるぞ」とか言われたそうで。
雷の元で修行している際にとある先輩から嫌がらせをさせたりステージ脇でボコられたりした書いてあって、その先輩が誰なのか、非常に気になる。DJ PAT?G.K.MARYAN?マーヤンは最初よく思われてなかったと書いてあったけどすぐに認めてくれたって書いてあるし違うっぽいけど一体誰なんでしょう?雷のメンバーじゃないのかな?
最初の逮捕で発売寸前のアルバムが回収になった時のAVEXやアウトローとのいざこざが読んでるだけハラハラする。レコード会社との確執やプロブレムはやはりつきものなんだな。
2回目の逮捕の理由としてD.Oが語っていることは、最近では非常にコントラバーシャルな問題を孕んでいる。この件に関してD.Oの言っていることが全て正しいとは思わないけど、逮捕されたのがD.Oじゃなくて母親思いの普通のサラリーマンでD.Oと同じ弁明を主張したとしても同じく「何言ってんだこいつ?」と思われるんだろう。
てか2回くらいガサ入られたことが書いてあるけど、例えば舐達麻の人たちってガサとか入られてんのかな?うまいことやってるんだろうけど。
D.Oは親しみやすくて、いろんな先輩や怖い人からも気に入られて、T2Kらの後輩にとっても良い先輩だし、何よろリアルなラッパーであるために覚悟持ってビジネスをしている。そんなD.Oがより好きになったってハナシ。
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