チェック・ユア・マイクで優勝したYMCとプチ鹿島

1992年、ECD主催のマイクコンテスト、「チェック・ユア・マイク コンテスト」第2回が行われ、優勝したのが、「イエローモンキークルー」というクルーだった(らしい)。

なんというクラシック感!ただのギャグラップというレッテルを張るのは簡単だが、今の時代にはないコメディ要素を前面に押し出したクラシックだ。日本のラップにはこういったギャグラップの歴史が確かにあるので、オールドスクールが好きな俺にとってはむしろエモーショナルである。

現在このイエローモンキークルー(以下YMC)のCDは廃盤になっており、入手は極めて難しい。 
が、ゲットした人のサイトを見つけた。→http://to2kaku.com/journal/20160226/
貴重なレビューも

現在YMCはどうしているのか。ニッポニアニッポンよりは「あの人は今」の関心は薄いが、気になるのはやぶさかではない。日本語ラップって「あの人は今」でいうところの現在の姿を知りたくなる人って多そうなのだが、YMCのクルーの一人は、今芸人として活躍している。名を「プチ鹿島」といい、ピンの時事芸人だ。オフィス北野所属。

putikashima_prof

上記のYMCのCDをゲットした人のブログでも書かれているが、プチ鹿島がバンドマンでもある芸人マキタスポーツと、学者芸人であるサンキュータツオと3人でやっている「東京ポッド許可局」というラジオ番組があり、非常にウィットに富んでいるにも関わらずしょうもない話をしているところがこの番組のミソで、楽しめる人はハマるだろう。俺自身もポッドキャスト時代からのリスナー(局員)だが、当番組で度々プチ鹿島が昔ラッパーだったという話が出て、その度にプチ鹿島が「日本語ラップ黎明期にラップやってました」とふざけて言いながらも全然そんな実感がない様子におかしみがあってたまに他の2人にいじられている。実際には友人にたまたま呼ばれてラップをチョロチョロっと歌っただけみたいな感じなのだろうが、そこで優勝してしまうところがちょっとすごい。審査員にはスチャもいたそうで、お笑い要素が功を奏した部分も多いだろう。客席にはライムスターの宇多丸もいたらしい。第1回大会で優勝したのはレヴォルト・サファレイジであり、後の童子-T匹いるZINGIだ。許可局のファンの俺としてはそんな面々の中プチ鹿島が少しでもコンテストの優勝に携わっていたことが非常に驚きである。

この記事を書こうと思ったのは先日の6月5日放送の東京ポッド許可局でこの番組のテーマソングである「東京ポッド許可曲 」に関するメールが読まれており、その放送を聞いたからだ。「東京ポッド許可曲」はラップの歌であり、3人がそれぞれ独自の持論や用語を使ってラップをしている(俺は許可局のイベントで生でライブを見て初めてこの曲を知った)。現在はネットでも聞けない模様。

6月5日の放送と、曲はポッドキャストでフルでオンエアされている(エンディングの後半部分)。この許可曲に関してメールを送った人がかなりのヘッズであり放送でも解説が読まれているので、放送を聞いて楽しんでほしいが、特筆すべきは3人の中で最もラップが下手なのがプチ鹿島ということである。リズム感がないのは天賦の才らしいが、チェック・ユア・マイクで優勝してしまったことを考えると、やはり昔から日本語ラップとお笑いは親和性が高いのだと感じる。そして、3人の中でラップとしてクールなグルーブを生み出しているのが、意外にもサンキュータツオである。ミュージシャンのマキタスポーツはメロディアスなフローは得意だろうが、サンキュータツオは声質もよく、どこかラップが垢抜けていて、マキタスポーツよりも聴き心地がいい(合いの手やライブでの煽りはもちろんマキタスポーツが一番うまい)。歌詞も面白い(許可局員にしかわからないところもあるだろうが)。ラジオネーム:モコ?さんもおっしゃている通り、サンキュータツオのバースは口から出まかせのMUMMY-Dバースにも似たスタイリッシュで粋なサウンドの流れを感じさせる。
ちなみにサンキュータツオはライムスターと同じ早稲田出身であり、さらに宇多丸と同じ巣鴨プリズンを卒業している。マキタスポーツも「10年目のプロポーズ」でスチャと共演を果たしているし、密かに日本語ラップと縁がある東京ポッド許可局だ。ジングルもロマンクルーのアリキックがラップしているし(アリキックは許可局リスナーでありリスナージングルの募集で採用されており、以前タマフルでも番組のアンセム的な楽曲提供を行った。ラムライダーもマキタスポーツの冗談めかした圧力により許可局のジングルを送っており、楽曲がオンエアに乗ったこともあった。しかしその次のジングル募集の企画ではtofubeatsにマキタスポーツの声は届かなかった…)。
やっぱり、プチ鹿島がメンバーとして所属していたYMCがECD主催のイベントで優勝していたことが個人的には非常に面白いのであった。
 

コメント

  1. ハナマック より:

    初めまして。「チェック・ユア・マイク」検索でこちらにたどり着きました、ハナマックと申します。
    イエローモンキークルーとは、この2回目のチェック・ユア・マイクで知り合って、大阪で何回か一緒にイベントもやりました。
    コンテストの時、YMCの時がお客さんも一番盛り上がってましたよ。これはもしかして‥と思ってたら、優勝しちゃいました!
    ちなみにプチ鹿島は、当時「MCパーカー・フード」という名前でした ^ ^
    懐かしくてついついコメントしてしまいました。
    たまに覗きにきますので、今後ともよろしくお願いします。

  2. コメントありがとうございます!すごいです。なんという貴重な体験!
    MCパーカー・フード!「フード・パーカー」ではないんですね笑
    不肖私もハナマックさんのサイトたまに覗きに参ります^ ^

  3. モコ より:

    許可局で許可曲についてのメールが読まれたの僕です!たまたまこの記事を見つけ、嬉しくなりコメントしてしまいました!

  4. 日本語ラップを愛する人 より:

    コメントありがとうございます。おお!そうなのですね!最近はメール送れていませんが自分も何個か番組ステッカー持ってますよ!

  5. 日本語ラップを愛する人 より:

    YMCと書くべきところをTMOって書いちゃってました笑

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