広島から全国へ:JAKENが描くラップと成功の軌跡

今回は、JAKENについて書いていく。

広島から全国へと躍進する若手ラッパーJAKENは、貧しい過去から成功への道のりを力強く描き、リスナーに深い共感とインスピレーションを与えている。アルバム「PUSHIN J」は必聴の1枚。

シーサイド出身:JAKENのライフスタイルとプロファイル

JAKENは広島県廿日市市出身の若手ラッパーで、彼の音楽活動はリアルでストリート感あふれるリリックが特徴的。彼は中学時代にラップに興味を持ち、BADHOPの楽曲をきっかけに本格的に活動を開始。当初は友人とフリースタイルを楽しむ程度だったが、音楽に真剣に取り組むようになり、広島を拠点に活躍している。歳は弱冠21〜22歳くらいだと思うが、スキル的にも、再生数的にもすでに名うてのプレイヤーに引けをとらないラッパー。昔はおにぎり一個も買えない貧乏人であった。

彼の代表作「Seaside Flow」はYouTubeチャンネル「03-Performance」で公開され、約220万回の再生を記録し、全国的に注目された。その後、「PRIDE」や「DONZOKO」などの楽曲も発表し、自身の厳しい過去やどん底から這い上がる決意を力強く歌い上げている​。

その他のプロフ

  • weedを含むお薬をやらない
  • 音楽活動だけで月収2百万円以上
  • 髪型はコナンに登場する元太くん
  • シーサイド出身
  • 元現場作業員
  • マンCのフィル・フォーデンに似ていると言われている

これらのプロフやJAKENの過去の苦労は曲を聞けばわかる。淡々と、心地よいフローで韻を踏みながらボースティングや時にはとんちみたいな下ネタで傾聴させるラップ力が魅力的。不良ではないがストリート臭もしっかり漂う。

国内最大級のHIPHOPフェス、「THE HOPE」にも「03- Performance」として出演しており、しっかりかましていた。

THE HOPEのライブ全編・過去の公演は全てABEMAプレミアムで見れます。その他ラップスタアの裏側などの「限定公開動画」、その他ラッパー・DJに密着した「my name is」、「BADHOP1000万1週間生活」が面白すぎるのでオススメです。

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アルバム「PUSHIN J」を聴きな

俺はJAKENについては「PRIDE」を聴いたくらいで、あまりチェックしていなかったのだが、アルバム「PUSHIN J」を聴いてみたところ、名曲揃いで、11曲あるのだが、体感1分くらいの俺的には最高に日本語ラップを楽しめる超名盤だった。諧謔の効いた表現から、音楽への真摯な一面を剥き出しに歌うJAKENのラップに惚れ惚れとしてしまった。

炒炒と「Seaside Wave」でfeat.しているが、両者の間のラップスキルの差が滲み出ていた一曲でもあった。てかJAKENシーサイド好きだな。

JAKENのライムは一見、脚韻を着実に置いていく王道の踏み方をしているように思えるが、その実、韻の飛距離がヨンパなく、なおかつ固い。またフローも当たり前のようにスキルフルなので全バースがパンチラインのように聞こえる。

「Seaside Flow」から全国へ

JAKENは上京せず広島で活動しており、今後もそのフッドに根ざした活動方針は変わらないのだろうと思うが、彼同様にWatsonもいまだに徳島を拠点に活動している(多分)。東京に引っ越した方が全然ラクなんじゃん?と思ってしまうが、今しの時代、特にコロナをも乗り越えた現代人・若者は物理的な距離などものともせず、さまざまな活動が出来てしまう。インタビュー、楽曲製作、ミーティング、動画・音楽配信、備品・アパレル購入などなど。もはや生活の軸をどこに置くかはあんまり関係ない。ライブは実際にその土地に行く必要があるにせよ。

広島は最近5leaf、ACE COOLなど、名だたるプレイヤーが全国にその名を轟かせている。その中で次世代の若手ラッパーがどんどん輩出される土壌も出来上がっていくんじゃないかな。方言も相まって、独自のラップカルチャーを醸成させていったら面白い。7、tofu、炒炒、MIKADOがrepする和歌山も方言がユニークだが、もっと地元民しか使わない言葉をラップしてほしいとすら思ってしまう。一時の名古屋のように、地域ごとに独自の文化を発展させていってくれるとHIPHOPがより楽しくなる。リスナーの見識も広がる。HIPHOPにおける聖地巡礼みたいなムーブメントも各地で行われるようになるといい。HIPHOPが好きな人がNYを訪れ、ビギーの壁画を観にいくように、大阪の鶴橋に行って焼肉やお好み焼きを食べたり(KOHH、JIN DOGG)、愛しの福岡のももちパレスで相撲オヤジの迷惑行為に眉を顰めたり(TOJIN BATTLE ROYAL)するようなことがもっと活発になれば岩瀬兄弟が言うところの「ラップで回すこの国の経済」により近づくはず。地方発のアーティストがインターネットを通じて全国に名を轟かせる今、JAKENのようなラッパーが増えていくことで、日本のHIPHOPカルチャーもますます多様化していくだろう。

JAKENとWatson

Watsonみたいにユニークな言葉運びをするのもJAKENの魅力の一つ。また、Watsonのように地方に根ざしながらも全国的な影響力を持つ。しかし、JAKENのフローはWatsonの言葉運びとは異なり、よりスムースで洗練されている点が特徴だ。

Watsonよりもラップがスムースであり、フロー自体には全く嫌味がない。フローの完成度が高いにも関わらず、リリックの完成度もフローのスタイリッシュさとは別のベクトルでやばい域に達している。音楽に軸を置いた彼のラッパーとしての矜持と覚悟がアルバム全体を通してひしひしと伝わってくるし、その分ボースティングが何倍もかっこいいものに聴こえる。刺青もあんまり入れてないっぽいし、草すらもやらない、毎日5時間スタジオに篭るくらいの音楽に対する情熱、白い金で買った高級車で帰宅するJAKENは全幅の信頼に値する。キレたら殴るとリリックにあるのでそこだけが玉に瑕。

まとめ

JAKENは、広島のラップシーンの新たな可能性を象徴する存在。広島のシーサイドから、彼の過去の経験が反映されたリリックと、聴く者を引き込む巧妙な韻は、スムースなフローとともに強いインパクトを残している。

都会に出ることなく、地元に根ざしながら音楽活動を続ける姿勢は、今後の地方HIPHOPの発展にとっても重要な要素となっている。広島にスタジオを作った彼の存在は、地元のコミュニティや文化をリスペクトしつつ、より大きなシーンでの成功を追求する新しいラッパー像を体現していると言えるだろう。JAKENの音楽は、これからの日本語ラップシーンでさらに大きな存在感を放つはずだ。

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