ラップ以外のことをやっているラッパー達

ヒップホップという表現手法に縛られず、複数の顔を持つラッパーたちがいる。ラッパーとしてのキャリアと並行して、ポッドキャスター、プロデューサー、映像作家、飲食店経営、占星術師など、異なる領域で活躍する彼ら。その理由は多様だ。音楽以外の領域での創造活動に心から惹かれているアーティストもいれば、ラッパーとしての収入だけでは生活が成り立たず、ダブルワークとしてこれらの仕事に従事しているラッパーもいる。一見すると、ラップ以外の活動は本業の邪魔になるのではないか、そう考える人もいるかもしれない。しかし、それぞれの事情の背景にあるのは、自分たちの表現を貫くための現実的な選択であり、そうした多様な経験こそが、彼らの音楽に深みと広がりをもたらす。以下に、ラップだけに留まらない、日本語ラップシーンの多才なアーティストたちを紹介する。

Valknee ラジオ

以前にもブログで取り上げた、俺が敬愛するバルニー。

大分前から、Valkneeは「ラジオ屋さんごっこ」のメンバーとしても活躍している。この番組は、ラッパーのバルニー、デザイナー会社員のリー子、トリリンガル帰国子女のつかさが「言語化」を目的に様々なテーマについてお喋りする内容で、カルチャーやラップ、性・恋愛など多岐にわたる話題を取り上げ、YouTubeやSpotifyなどで配信されている。以前なみちえ、じゃなくて、ASOBOiSMとのビーフの発端になった回があったようななかったような・・・。

ポッドキャストは隔週月曜日の午後8時に配信されており、YouTubeやSpotifyなどのプラットフォームで聴くことができる。特にSpotifyでは、以前、理性を無視して自分を解放する”モンスター化”についてのエピソードもあり、リスナーに新たな視点を提供していた。

また、Apple Podcastでも配信されており、リスナーからは「人間らしさ全開で共感する場面が多い」との声が寄せられている。彼らの会話は知的でありながらも親しみやすく、多くのリスナーに支持されている。

童子-T プロデューサー

童子-Tは、2024年に入ってからも裏方として音楽活動を続けており、特に注目すべきは元Kis-My-Ft2の北山宏光の新曲への関与だ。彼はこの楽曲に参加することで、新たなスタイルを模索。童子-Tは「フィーチャリングばっかして」と揶揄されることもありますが、自身のスタイルを貫いていると語っている。

また、童子-Tは過去にハードコアなラップスタイルで知られていたが、メディアへ良く出てた時はシンガーとのコラボレーションが増え、ラブソングやバラード調の楽曲が中心になっていた。このスタイルの変化に対しては、セルアウト批判も受けているものの、彼自身は「音楽でメシを食うためには、変わることも必要だ」と述べていた。

2024年にはTOBEに所属し、北山宏光のシングル「THE BEAST」やIMP.の1stアルバム「DEPARTURE」のリードトラック「NINNIN JACK」の作詞作曲を担当している。これにより、彼の音楽活動が再び注目を集めている。

現在、童子-Tはメディアへの露出は少ないものの、彼の楽曲は多くの人々に影響を与え続けている。特に青春時代に彼の音楽を聴いていたファンからは根強い支持がある。「better days feat.加藤ミリヤ,田中ロウマ」は未だにたまに聴く。

KLOOZ 映像作家

KLOOZは、独自のプロモーション方法で注目を集めたラッパーであり、映像作家の大月壮とタッグを組んで画期的な映像ムーブメント「KLOOZ Movie Day」を展開した。このプロジェクトは、2010年12月から2012年6月にかけてYouTubeで公開され、多くの豪華アーティストを巻き込んだ実験的かつ革新的な映像作品を発信していた。KLOOZの映像企画は、HIP HOPシーンにおいても大きな影響を与えた。

映像作家としてのKLOOZは、特にSNSやYouTubeを活用したプロモーション手法で知られており、彼の作品は、視覚的なインパクトだけでなく、ストーリー性やテーマ性も重視されており、観客に深い印象を植え付けた。

MEGA-G ハンバーガーショップ(現在は退職)

MEGA-GはヒップホップMCとして知られる一方で、大田区にあるハンバーガーショップ「JUICY BURGER」の元店長でもあった。JUICY BURGERは、肉厚でジューシーなハンバーガーが楽しめるお店で、店内にはヒップホップのセンスが溢れているらしい。京急空港線大鳥居駅から徒歩5分の場所にあり、デリバリーも対応(今はどうかわかりません)。MEGA-Gは2023年2月末に退職したが、新生JUICY BURGERも引き続き注目です。

JUICY BURGERでは、特に「MEGA-Gバーガー」が人気で、これはパティ2枚にハラペーニョとチリビーンズをトッピングした看板メニュー。また、他にも「ベーコンエッグバーガー」や「ダブルチーズバーガー」などがあり、どれも肉厚でジューシーな味わいが特徴らしい。美味そう!

JUICY BURGERの住所は東京都大田区羽田1-4-5 日興パレス羽田です。

十影 TOKABANANA

ラッパーの十影が運営するバナナジュース専門店「TOKABANANA」は、エクアドル産の完熟バナナとミルクを使用した超濃厚なジュースが特徴。2023年5月にオープンし、原宿のSURKU CAFEで毎週土曜日に提供されている。砂糖不使用で、健康志向の方にもおすすめらしい。十影自身が接客することもあり、ファンにとっては特別な体験だろう。

メニューには「ノーマルバナナ」や「ジェロムレバナナ」など、ユニークな名前のジュースが揃っている。

宇多丸 ラジオ

宇多丸は、ヒップホップグループ「ライムスター」のラッパーであり、TBSラジオの『アフター6ジャンクション2』のパーソナリティ。この番組は、毎週月曜から木曜の20:00から22:00に生放送され、映画、音楽、本、ゲームなど多岐にわたるカルチャーを紹介している。特に「週刊映画時評ムービーウォッチメン」では、宇多丸が映画評論を行い、多くのリスナーに支持されている。正直、俺は土曜の週一の楽しみだったタマフル時代の方が好きだった。帯番組になって、古川耕作家として入っているものの、ラジオ番組としてのHIPHOP濃度がガクンと下がった。コンバットRECが宇多丸にその辺をめっちゃ突っ込んでほしい。

COMACHI 占星術師

COMA-CHIは現在幅広い活躍をみせているが、占星術師としても知られている。新しいアルバム「OTO」をリリースし、オンラインコミュニティ「Soul Creators」を開始。また、ドラムの叩き語りという新たなスタイルを確立し、日本の伝統音楽とのコラボレーションも行っている。彼女の音楽は国内外で支持され、進化を続ける全方位型アーティストとして注目されている。

Soul Creatorsは、参加者が自分の魂を表現し、新しい世界を創造することを目的としたコミュニティ。参加者は、NFT会員証を取得することで、特別なコンテンツやイベントにアクセスでき、コミュニティでは、アートや音楽などのクリエイティブなプロジェクトが進行中であり、特に日本の伝統音楽とのコラボレーションも行われている。COMA-CHIは、日本の伝統楽器を取り入れた音楽プロジェクトにも関与している。Soul Creatorsはアーティスト同士の交流や新しい創造的な試みを促進する場として機能しており、COMA-CHIはその中心的な存在として活躍している。

スピってるといえば、sugarsoulのアイコもそっち系になってた気が・・・。

まとめ:ラップ以外の活動が生み出す豊かさ

Valkneeのポッドキャスト活動から始まり、童子-Tの楽曲制作、KLOOZの映像表現、MEGA-Gの飲食店経営、十影のバナナジュース専門店、宇多丸のラジオパーソナリティ、そしてCOMA-CHIの占星術とコミュニティ運営まで。これらのラッパーたちに共通しているのは、ラップという表現だけではなく、自分たちの興味や関心を素直に形にしてきたということだ。日本語ラップシーンにおいて、こうした多様性は非常に重要な要素だろう。なぜなら、それぞれの経験が音楽に還元され、リスナーに新たな視点や感動をもたらすからだ。ラップ以外の活動を持つことは、決してメインの活動から目をそらすことではなく、むしろアーティストとしての表現をより豊かにする選択肢だと思う。

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