最近ストーリーテリングの曲って少ない気がするけどそれは俺が単にディグり足りてないだけなのかもしれない。てか最近の楽曲、ヒップホップに限らずめちゃくちゃ1曲の時間短いな。現時点でブーンバップ最高峰の$MOKE OG(is the illest)の楽曲でさえほとんど2分代だもんな。バースも2バースのものが多いし今3バースある曲珍しいんじゃないのかな。
今回はストーリーテリングの曲でポエトリーリーディング系ラッパーのそれ以外の物をいくつかピックアップしてみた。あ、でもブルハの路上はポエトリーリーディングか。。
餅は餅屋、ラップはラッパー、小説は小説家、それぞれに役割があってイイけどラッパーが音楽の上で韻を踏みながら物語を語るストーリーテリングは一流ラッパーしか作ることが出来ないと思っている。
スタア誕生 キングギドラ
キングギドラ 1st 「空からの力」収録のK DUB SHINEのソロ曲。ABEMAの人気番組、『ラップスタア誕生』のタイトルはこの曲を元に決まった。MCバトルの人気番組がZEEBRAの「フリースタイルダンジョン」から来てるなら、音源ラッパー(そもそも音源ラッパーってなんやねん、ラッパーはミュージシャンやから音源はリリースして当たり前やろって感じだがこの考え自体がケータイのみならずヒップホップにおいてもガラパゴス的発展を遂げてしまったここ日本においてはロートル認定されるかもな)発掘を主軸にした番組ならKダブの「スタア誕生」だ。
何と言ってもこの曲のすごいところは固い韻をバシバシきめていきながらも、非常に重たいストーリーをまるでショート映画のように情景描写を巧みにラップで描いているところ。ウシジマくんでこんな話あった気がするけどもちろんスタア誕生の方がウシジマくんよりは早い。この曲はスタアになる夢を見てた少女が主人公なため、よりタチが悪い(パチンコ中毒などではないのだ。)。
ただ少女は人前で歌うのを夢見てただけ。それが大人たちに搾取される縮図って「スタア誕生」が発表されてから28年も経ってるけど全然変わってなくね?いつだって、金儲けの為なら、オトナたちは無感情に誘惑してくるからこれを読んでるティーンは気をつけて。その誘惑の先にあるのは、自らの利益だけを追求した商売繁盛だ。Kダブの「ソンはしないから聞いときな」もソンはしないから聞いときな!で怖い目にあったらKダブに言え。
隣の芝生にホール・イン・ワン (feat. BOY-KEN) RHYMESTER
RUN DMCのS**ker MC’sのドラムから入るこの曲のMUMMY-Dはライムスのストーリーテリングの中でも珠玉のバース。 名盤「リスペクト」収録。リスペクトは一番好きなアルバムだけどこの曲が入ってるってだけでベストワンかな(プレステのみんなのゴルフが大好きだったのも1ミリくらいはあるかもしれないが)。
この曲は今のライムスはライブではほとんどやらないだろうなぁ。ライムスはコンプラにも慎重そうだし、BOY-KENと同じ舞台に立つが機会あればあるいはって感じだけどその機会があれど絶対に「知らない男」を一曲丸ごとやることはないだろう。やっぱり、やっぱり、やっぱり、やっぱり!うーん、うーん!
宇多丸もいいんだけど、やっぱり2年前に親友がハニトラに遭遇したDのバースにどうしても耳を傾けてしまう。いや、ハニトラだけど浮ついた話に縁のない男にも、最近少し倦怠期(嘘かもしれんけど)な女にもwin-winの話やから許してくんね!?(ジブラ風)
この曲Dがイタコなんだが、「それは彼女の目論見通りだったかもしれん恐ろしいストーリー」と「俺はマリオネットのようにシナリオ通り動くマリオ」がプロット上逆の方が良かったんじゃないかなぁとずっと思ってるけど曲のクオリティが高すぎて何も言えないっす。
FLY 般若
最近では、「超たちがわるい feat. J-REXXX & R-指定」や過去には「やっちゃった」でお馴染み、般若のストーリーテリングでは一番好きな曲が「FLY」。バトルでじょうもサンプリングしてたな。「ドクタートーキョー」の中でも俺的には傑作。
1バース目は「スタア誕生」に通ずる所があって、無感情な、心には何もない弁護士や医者に適当に扱われる女性が描かれている。職業に貴賎はないと思ってるしキャバ嬢やホストには俺は絶対全ての面で勝てないからリスペクトしかない。キャバ嬢に対するリスペクトがこめらている曲は次に紹介するRYUZOのHATE MY LIFE。
2バース目は親御さんに恵まれなかった子供が主人公。MVを見るまで小学校中学年くらいの男子かなと思ってたけどビデオでは中学生だったのでちょっと面食らったけど、こちらもなかなかヘビーな話。般若は昔いじめられてたらしいし、確か般若自身がいじめられっ子の目に投石した話は自伝にあった気がするんだよな「目を狙ったがちょっと外れた おかげで帰りボコボコにされた」。
SEEDAもそうだけど、社会派のラッパーは一曲の重みが他のラッパーとは全然違う。般若の「2018.3.2」を聴いてない人は絶対に聞いて、曲の詳細ときっかけになった事件をディグった方がいい。
HATE MY LIFE RYUZO
こちらも群像劇で、MVもそれぞれの主人公が些細な関わりを持ってるのが素晴らしい。般若の「FLY」の1バース目の女性がこの曲の2バース目の女性になってたらと思うと何か琴線に触れるものがある。「お酒臭いママでごめんね」とか言う必要無い、何故ならママは頑張ってるから。全てのシングルマザーがエンパワーメントされるバースだと思う。
3バース目もいいけど、やっぱ俺的に好きなお話は1バース目の兄ちゃんだな。大学出てなくても、ペラペラの給料でもいとしのベイビーがおるならそれで大満足だろうが。センスもいいし、絶対にこいつの彼女は美人もしくは可愛いし、結婚して暖かい家庭を築きそう。ちゃんとスニーカーも磨いてるし(室内で履けるくらい磨いてるからスキルも相当研いてるだろうな)、余暇の過ごし方がめっちゃイケてそう。
CHILDREN’S STORYなど ZEEBRA
ZEEBRAは3曲紹介します。これ以外にも名曲が多すぎるので過去のアルバムチェックしてくんね!?(松永の声で脳内再生してくんね!)
CHILDREN’S STORY
今となっては全てが面白いし、リリース当時も高校でマイメンとこの曲のモノマネをし合っていたのがエモくなってきたただ今4時20分。この茶番はジブラだから成せるワザだし、ジブラ自身もストドリで言ってるよね、「成せば成る」。
罠 featuring OJ & ST
罠も名曲として名高い。ライブ後何者かに人違いで拉致られる話なのだが、これ誰かの実話元にしてるのかな。ラッパーなら普通にあり得そうで昔のMSとかやりそうだけれども。OJ &STの掛け合いも面白い。「完全にやられちまった〜!」
ZEEBRAのストーリテリング曲は枚挙に遑がない。
I’m Still No.1
3人の主人公がボースティングでかましまくる。1バース目はボクサー、2バース目はバスケプレイヤー、3バース目はラッパー。トラックも最高だし、被せのガヤも何気にいい味出してる。
BABY GIRL
リミックスの方が切羽詰まってる感あるのでオススメ。
ロリコンジブさんが勝手に17歳に惚れて最終的に自分からフったと見せかけてフラれたという曲。そんなことしてるから、そりゃ不倫ですっぱ抜かれるわ!って感じだし、別にそれ自体はいいんだけど、いい年して色恋に奔走してる暇あるなら早くアルバムを出してくれ、ZEEBRAザダディおじさん。そう思ってるのは俺だけじゃ無いはず。NORIKIYOは待ちくたびれてますよ。
雨、花、絵描き。 ZONE THE DARKNESS
ポエトリーリーディングの曲で最も好きな1曲。
以前YouTubeできけたのですが、今はもう聞けなくなってしまいました。ダークネス時代のゾーンの曲で、ロンリー論理8曲目収録。
初めて聴いた時、哀愁漂うトラックとその静謐で切なくも情熱が垣間見れる歌詞に耳を一瞬にして奪われた。聴き終わった後、茫然自失になったほど。俺がこの曲を初めて聴いた時のシチュエーションまで覚えてる。ガソリンスタンドで車の給油の順番待ちをしている時に車内で聴いた。その時も外は雨が降ってて、感動して泣きそうにもなった。雨の日に聴きたい1曲でもある。
リリックと韻はこちらで解説されています。絵描きの男性と花屋の女性が突然の雨が降ってきたことにより出会い、恋をし、しかし次第にすれ違っていき・・・という物語で、単に切ないラブストーリーというだけではなく、絵描きのアーティストとしての矜持、セルアウトへの苦悩なども語られている。聴いたことがない人はゾーンのファンでなくとも絶対唸ると思うので是非なんらかの方法で聴いてみてください。
もはや有名作家の短編集や本屋に売ってる文芸誌に載っていても全くおかしくない作品で、実際問題、なろう系作家の人がこれパクった小説もネットで発見してしまった。
ラストのオチも完璧で非常に考えさせるような終わり方だが、暖かい気持ちにもなる。映画化されてないよね?今泉力哉監督か、是枝裕和監督に映画化してほしいようなして欲しくないようなアンビバレントな気分になってる。
路上 THA BLUE HERB
多くは語りません。聴いて、読んでください。映画『シティ・オブ・ゴッド』を見た後みたいな満足感が得られますので。聴きごたえがあり過ぎて普通に疲れます。
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