【BADHOP VS 舐達麻】2023年最後に舐達麻のとんでもない曲がリリースされた【YZERRからのアンサーはあるのか】

今年はおじさんラッパー達の仲直りの年だったが、若いラッパー達はそうでもないらしい。

また日本語ラップに根深い問題が生まれてしまった。

12月1日、舐達麻の新曲、「FEEL OR BEEF BADPOP IS DEAD (prod. GREEN ASSASSIN DOLLAR & 7SEEDS)」がドロップされた。YouTubeでトレンド入り、1日で100万回再生された超特大ディスソングについて書いていく。

これはビーフだ。ガッツリ食うぜ

痛烈にYZERRとBADHOPをディスしており、曲の完成度もめちゃくちゃ高い。

次のアルバムにも収録されてしまうのかしら。

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MVの撮影場所はことの発端の場所でもある渋谷のCÉ LA VI Tokyo(セラヴィトウキョウ)。YZERRが孫に詰められ、T-PABLOWが阿修羅MICを詰めた(以前の記事内で流出動画も紹介)場所。

事件の経緯や動画は以前の記事をご覧あれ。

胸ぐらを掴まれたのはバダサイだが、他の2人のメンバーである本ちゃんと広井もガッツリBADHOPをディスっている。初めて聴いたとき思ったのは、意外とむっちゃキレてたんだな、ってことだ。まあそりゃいきなり殴りかかってきたんだもんな。よくよく考えてみると普通に怒るわな。今時の曲にしては珍しく、6分以上もあり、相当気合を入れて仕上げてきたという感じが見受けられる。

インスタライブでの釈明によりYZERRサイドにヘッズのプロップスが偏っていたように思うが、この1曲で一気にひっくり返した舐達麻。以下考察・感想など。

歌詞全容

歌詞をyoutubeより転載させていただきます。

BADSAIKUSH
お前の曲はパクリで 俺のはREQUIEM
Northern Blueが覆った心の雲が灰色のまま
晴れる事なく 追悼と狼煙の意で燻ぶった煙も相まって 
目の前すら見えない土砂降りの最中
妬み嫉妬ましてや 羨望など蚊帳の外
もう1人の俺と 昔話で先を見てるところ
何を言えども 口すら聞けないお前と
一緒に居ると思うと 女々しいから何も言わない
資本主義の豚が 社会やガキの為とか抜かすんだ
本物は 黙ってそれをやるだけさ
ライブは口パクかバックれの後言い訳するのがリアルで
ブランディングやり方スタイルアメリカの特定の誰々
リサーチするビジネス市場のあれこれ
両目が円で文章綴るより金数えるのが好きなのさ予々
何がパブロ 俺がピカソならお前はただの絵描き野郎
俺がエスコバルで お前は買収したデコだクソ野郎
こっちはガキの頃から塀の中と外行ったり来たり
去年も一昨年も何人もパクられてはラップしてみだりに
稼いだ億円 弁護士預かり口座へ 何千万円
Flexじゃ無い反体制Fuck The Policeくそったれ
俺たちとこいつらがどうグルで 色眼鏡ゴーグルで
膨らまされた風船 次の空気入れがもう来るぜ
ゆっくりと思い出す 特別なことは無く やましさもなく 
家族仲間達とは誤解なく 灰皿にたまる燃えカス
内臓から抉りだす 俺たちは魂を燃やして言葉を吐き出す 愛と尊敬とイリーガル
文字通り無い眼中いつも通り避ける大通り
振り返る裏通り結局俺たちが飾る大トリ
RhymeやBeatsの上なら絶対負けない それで良い
お前と弟のラップは酷ぇ 水と油 腐る耳 
後はくせえ金魚のフンまじ用はねえ
きな臭えメロディーと韻が お前がVERBALで俺がSEEDA
上柴西から成り上がるほどに増えていく問題の中で
ビッチやポリスとポン中の戯言は問題外
直管のシェベルで
向かうスタジオで
死んだ仲間のことを俺は仲間たちと今日も歌うのさ
他人がどこで何がどうかはマジで興味ねえ
何度も言わせるなよこれが俺の本音だぜ 
こんな曲は 吐いて捨てた言葉
口先だけで語る仲間と共に掃き溜めに置いてきな

HOOK
あるべき形はこう すぐBeefにして曲は非情 
異次元 突き抜け更に浮上
アイツはもう 空の向こう
争いならぶち殺せばゴール 
今おれらはまずBeatに問う 
ネットに愚痴る事情や苦情なら 仲間と今日 曲を書こう

DELTA9KID
ご託とご自慢の兵隊並べて
叫ぶだけ叫んでろ誰かを下げて
寒い猿芝居 車内 笑い者だそんな形相
太巻きのWeed吸って まずRelaxしろ
演技して手を出してすぐ出すケツモチ
そこまでがセットだろこれは絵に描いたオチ?
虎の威を借り ツラこき 涙目で語り
詐欺師ばりに絵を描き 嵌めてぇか罠に
いつどこで出した俺ら警察と弁護士
内容が足んねぇよ 携帯 画面越し
逆に地元 先輩からきた問い合わせ
なにがReal Fakeか己問い正せ
正義面の割に 節々が幼稚
人格疑う 謝って悪口
なってねぇ行儀 反省で坊主に
なってろ なにがHiphop ここが境地
ヒット曲 誰かパクリそれ歌いビッとする
それがサンプリング文化だとしたらゾッとする
疚しさがある だから言われれば勘繰る
俺ら音を前に絞り出した心 文字にする
Bitch Pop Music 流行りなんて廃る
ラッパーは内容を伴い音に語る
グラマー 上手だなネットの使い方
SNSでBeef わからないやり方
殺せとか殺さないと息巻いて語るが
お前や お前ら 周り子供はいるのか?
俺の人生においてお前らはその他
口を閉じろ嘘吐き今に出るぞボロが
興味ない本音 仲間と笑いたいだけ
幸せ壊してくるなら立ち上がるだけ
うるせぇよ今更の言い訳や釈明
AnswerがあればせめてメッキかけたRapで
Hater返せるかDis曲 一つでも
圧勝で楽勝 百ゼロでおあいこ
売名で売れればいいな Dome チケット
言の葉が手向けBADPOP is DEAD

HOOK

G-PLANTS
事実マイク手放し 掴んだのは胸ぐら
歌詞はおろかうやむやに飛ばしてった歌う番
トリで客を騙す ワケは突如機材トラブル 
さすがオチは 手持ちカメラ見つめ芝居すらする
どんなポーズ マッハ超えてインスタで飛ぶ唾
大勢のその他たちは川崎でお留守番
ケツで遊ぶ子供達じゃひつ要だオムツが
俺は曲に変えて言うができねぇよな小粒じゃ
失格 ただの二重人格の金策
虚言癖の薬中と病院で診察
一角 担う騒ぐやつと黙る品格
デコに頼る奴は作らねぇ 逮捕Tシャツ
頭沸いた奴が書いた絵面 真の改ざんと
嘘の種で生えた駄草燃やし語るハイランド 
別次元 炎上で燃やす太巻き
何個も下の人並みが叫び散らすクソガキ 
お前含め全員が裁判じゃ有罪
黙秘できぬカルチャーがそれを認め救済
結局 魂が 正しいか やましいか
誰ができる審査 ブレぬ芯がさせる進化
何の因果 集う信者 騙す薬物の擬人化
見上げては崇めてる 口だけの自信家
実際 裁きたい 敵じゃなくチケット
早いとこ抜け出せよ 神奈川1のゲットー

HOOK

https://www.youtube.com/watch?v=7i_SmaFmM90

サンプリングがニクイ

水と油

バダサイのバース、「水と油」と言っているが、これは「ビーツとライムが水と油」という意味であり、SEEDAの花と雨収録の「Ill Wheels (feat. BES)」でのBESのライン。

ラップがうますぎて完全な韻じゃないのに全踏みしているように聞こえるBESのスキル。その後数々のラッパーに引用されてきたのが、この「水と油」。

R指定もバトルで引用。2012年ENTER MC BATTLE CLASSICS

R指定がTSUBOIにミスターアルファから繋げて「ビーツとライムが水と油」を引用。お客さんも結構アガってる。

名前も知らねえよ水と油

SEEDAとOKIのTERIYAKI BEEFでも引用されている。こちらは「イルマリはトラックと水と油」「日本語と英語が水と油」など。リップのRYO-Zに関しては、「名前も知らねえヤツ水と油」と言われてる。名前知られてないRYO-Zはその後クリーピーナッツのラジオで本家BESの「水と油」のラインを褒めててなんだか面白かった。SEEDA、名前覚えてあげて。

金魚のフン

言わずと知れた公開処刑だが、こんなにある意味では有名なフレーズをバダサイは引用するんだ、ってのも意外だったな。臭え金魚のフン、用はねえ。これ言われた方結構ムカつくだろうな。ベンジャジーは優しそうだけど、Tiji JojoとかBarkはどう思ってんだろ、怒り心頭だったりして。

VERBALとSEEDA

YZERRがVERBALでバダサイがSEEDA。こちらも上記で触れたTERIYAKI BEEFからの引用だが、バダサイ的にはSEEDAの方がイケてたって思ってるのだろう。商業(TERIYAKI=BADHOP) VS ストリート(SEEDA=舐達麻)の構図として、金を追いかける資本主義の豚としてディスっているのもそうだが、正直そういう対立の図式よりも俺が思い至ったのはVERBALが自身のポッドキャスト番組にSEEDAを呼んでビーフについて話すという機会を設けた時のVERBALのダサさだった。どちらの言い分も理解できるという人も多かっただろうが、VERBALの主張とSEEDAの主張ではそもそも音楽に対するスタンスが違いすぎていて、俺的にはSEEDAの言い分の方が理解できたというかVERBALが超ダサく感じた。その番組の後半ではフリースタイルラップでお互いの意見をラップする段取りになったのだが、その時のVERBALがしどろもどろで、「Yo・・・Yo・・・」とか言ってるだけで、本当に酷くて、ZEEBRA並みに「聞かされるこっちの方が恥ずかしい」と思ってしまった。なんか喉奥から搾り出すようにケーダブシャインがどうのこうの言ってた気がするけど、ラップじゃなくてただブツブツ言ってるだけで、SEEDAに「その間に俺が入ってくるぜ」とラップのターン横取りされて、VERBALも「入ってきて、入ってきて」とか言ってて、VERBALってこんなにダサかったのか、と悲しくなってしまったものだ。

バダサイがあのポッドキャストを聞いたか知らないけど、あの時のVERBALのダサさをYZERRと重ねてるのだとしたら、俺的にはかなり攻撃力の高いディスだ。

マッハ超えてインスタで飛ぶ唾

Gプラが日本語ラップ最大のクラシック、「証言」をサンプリング。証言3番のG.K.MARYANのライン「マッハ超えてとべ俺の唾」を引用。

さすが本ちゃん。渋いところをサンプリングしてくれる。

ビートはmatryoshkaからサンプリング

トラックはGREEN ASSASSIN DOLLAR & 7SEEDSによるものだが、サンプリング元は日本のポストロックユニットであるmatryoshkaの「Sacred Play Secret Place」だ。

落ち着く
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GREEN ASSASSIN DOLLARは毎回驚くべきディグ・サンプリング能力を発揮しているが、今回も面白い組み合わせ。サンプリング元を知ることによって、触れてこなかった音楽を知ることが出来るし、世界も広がる。今回もそう。

舐達麻のSpace Ballの元ネタのStella Donnellyなんかも有名なアーティストなんだろうけど俺は不勉強ながら知らなかった。

かわいい

以来Stella Donnellyをチェックするようになった。

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やはりGREEN ASSASSIN DOLLARはチル系な音色を好むようで、舐達麻の曲もトラック自体はゆったりとしたものが多い。今回のビートも最高だし、GREEN ASSASSIN DOLLAR & 7SEEDS産じゃなかったらここまで爆発的に今回の曲がバズることもなかっただろう。

完成度の高いそれぞれのバース

BADSAIKUSH

バダサイのバースはやはりお家芸でもある詩的な表現が含まれるが、いつにも増して攻撃的な歌詞になっている分、全体の印象として、いつもよりもリリシスト色は薄くなってる気がする。

今作はそこが良くて切れ味が鋭くなってる。「〜抜かすんだ」「なのさ」という表現も特徴的。

Northern Blueが覆った心の雲が灰色のまま〜」の部分は流石の村上龍フォロワー。

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また、ここに来て、「LIFE STASH」の「俺は輩じゃない。ラッパーだクソ野郎」っていうパンチラインがものすごく意義深いものに感じられる。

「お前の曲はパクリで」って言うのは商業的にトレンドを追い求める姿を揶揄しているのかもしれない。HIPHOPを大きい視野で見据えてビジネスとして成功を収めるために動いているBADHOPは、舐達麻にとってはまさにあの頃のTERIYAKIボーイズなんだろう。

パブロに対しても痛烈にディスしてる。

ポン中の戯言はもしかしたらリッキーに対してか?

根本の原因の曲、You Can Get Againで言ってた「誰がどこで何がどうかはマジで興味ない」ってことを再度表明している。YZERRが殴りかかってこなかったらそもそもこの曲は誕生していなかったに違いない。

DELTA9KID

デルタのバースは仲間を傷つけられたら容赦しないってな感じのスタンスがイケてる。今更の釈明がうるせえよって吐き捨ててるし。

YZERRがインスタで「日本のビーフは人が死なないからやる意味ない。ただの口喧嘩じゃん」「やれるもんなら殺してみろよ」と言ったことに対し、「お前やお前らの周りに子供いるのか」と言ってる。大切な人や守らなきゃならない人がいないの?そんなに軽々しく殺してみろよなんて言っていいの?ってことだ。

G-PLANTS

皮肉と掛け言葉が効いてる。フローも3人中で一番首ふれる。抽象的な表現が多いけどこの曲に関してはバダサイよりもある意味リリカルかも。YZERRとかパブローって年上の人にキレるとき「クソガキ」っていうけど(晋平太然り阿修羅mic然り)、相手からしたら絶対自分らの方がクソガキなのではって思うことが多いけどそこをついてるのかな?

デコには頼らないスタンスで、バビロンシステムに反旗を翻す様も一貫して主張している。

あんだけキレてたYZERRから「いい人」と言われてたのにも関わらずここまでの痛烈なディス。ライブの出番すっぽかしたのはどんな理由があれ批難されても仕方ないからドタキャンを責められるのはYZERRも痛いところだ。

YZERRがまたもブチギレ

こちらの楽曲を受けて、インスタでYZERRがまたもやブチ切れていた。

またもや穏やかじゃない様子のYZERR。人生を賭けて絶対に許さないと息巻いている。この双子まじで恐いんだよな。最近流出した阿修羅MICにキレるパブローも殺気ヨンパないし。

「すぐ出すケツモチ」はデルタのバースに対してだ。バダサイに対しても「本当に小心者だよな」とインスタライブで言っていた。

アンサーソングは出すのだろうか。YZERRのこの間のインスタライブでは曲でやり合うつもりはないと言っていたが、ここまでの楽曲が発表されたなら、BADHOPサイドからも1曲くらいは返してほしいと思ってしまう。いやでも出さないかな〜。出してほしいけどな〜。

BADHOPは東京ドームも控えてて超忙しいはず。ディス曲を制作する時間はないかもしれない。とりあえず暴力を伴った何かしらの問題に発展しないことを願う。

アンサー出したら、日本語ラップ史上に残るビーフになるのは間違いない(もうなってるけど)。「ラッパーなら曲で返せ」っていう論理がYZERRは嫌いらしい。その言い分もわかるが、正直HIPHOPは曲でやり合うゲームでもあると思う。そもそも特定の誰かに向けてのディスソングを発表すること自体が今後のキャリアのことも考えると嫌なのかもしれない。でもこの件に関してはもういっちょ楽曲で盛り上げてほしい。アメリカみたいに死人が出るビーフをやりたいのなら、音楽家としては舐達麻の方が上だ。

そして何年後になってもいいからいつの日かMACCHOとKREVA、MUMMY-DとILL-BOSSTINOみたいに和解して曲出してくれ。

最後にYouTubeで舐達磨’sのヨンパないMIXを見つけたので貼っておきます。

この頃のバダサイとジープラも最高。バダサイは今のフローをまだ確立してないけど、若さがあっていいしこの頃からちゃんとラッパーとしてラップしてるということを実感。輩じゃない。そしてD BUBBLESはやっぱめっちゃラップ上手いなぁ、一番ラップ巧者なのでは。

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