このところBADHOPの解散に向けた動きを受けて大きく日本語ラップ界隈がざわついている。
ラストアルバムを発表し、連日新曲がMV付きでYoutubeにアップされているが、注目すべきはそれらの曲に参加した豪華ラッパー達の数々。eyden、MARI、IO、KEIJU、C.O.S.A.、レジェンドグループであるNITRO MICROPHONE UNDERGROUNDなどのラッパーがBADHOPのクルーのメンバーのそれぞれの曲に参加し、スキルやリリシズムをこれでもかってくらいに披露している。スキルを誇示するぶつかり合いのようなバイブスではなく、解散への餞にふさわしいセレモニー週間みたいな感じだ。これほどまでにワクワクして楽しい日々はそうそうない。
BADHOPのベストアルバムの発売が決定しました。
初回限定版はブックレットとメタルトレイ付きです。5/29発売。Amazon.co.jp限定特典はメガジャケ(24cm×24cm)付なのですぐ売り切れるかもしれません(泣)
ラストアルバムも当初は8曲くらいしかなかったが案の定豪華客演陣を招いたデラックス版が配信されている。
以前のアー写でベンジャジーが服装のバランスを欠いていたように、今回もクルーのメンバーが自身の手がけたブランド「BREATH」を着用しているにも関わらず、またもやベンジャジー一人だけPRADAを着用しているのが面白い。
以下に今回の一連の客演ゲストを迎えたそれぞれの楽曲を紹介していく。
- B2B feat. Benjazzy & Bonbero
- 4L feat. Bark, Benjazzy, C.O.S.A. & IO
- South Side Night feat. Tiji Jojo, eyden & Deech | 03- Performance | From Kawasaki
- Day N Night feat. G-k.i.d, guca owl & KEIJU
- Hell Yeah feat. Vingo, MaRI & Candee
- NEW ASIAN feat. Vingo & OZworld
- Shoot My Shot feat. Benjazzy, Eric.B.Jr & 漢a.k.a. GAMI
- BAD HOP × NITRO MICROPHONE UNDERGROUND – 8BALL CYPHER
- Mukaijima feat. YZERR, ANARCHY, Benjazzy, T-Pablow & AI
- Empire Of The Sun feat. T-Pablow & Zeebra
- We Rich feat. G-k.i.d, Yellow Pato, Kaneee & KOWICHI
- 東京ドームは最高だったっぽい。解散したけどまだ出てきた!
- ONE PAN feat. Vingo, kZm, Benjazzy, Red Eye & Jin Dogg
- Fam*ly feat. Tiji Jojo, DADA & LEX
- KAWASAKI SONG feat. DJ TY-KOH,Bark, T-Pablow, Benjazzy, JJJ, BIM & A-THUG
B2B feat. Benjazzy & Bonbero
Chaki Zuluのビートがノリが良くてもう最高なのだが、今をときめくラップ巧者の頭文字Bの2人がフローを巧みに操って完璧に乗りこなしている。Benjazzy to Bonbero。FSLで戦った両者だが、この組み合わせはやはりFSLがきっかけだったのだろうか。罪深きFSLトライアウトという黒歴史を持つFSLだが、もし両者の共演がFSLのバトルに起因するものだとしたら、FSLの数少ない功績だ。
二人の組み合わせ、流れる用にマイクパスされるラップがスムースすぎるところもポイント。
4L feat. Bark, Benjazzy, C.O.S.A. & IO
一連の楽曲の中でこの曲が今の所一番好きかもしれない。正直この手の曲は日本語ラップでもたくさん制作されてきた用に思う。その全てが俺は好き(というか俺以外のリスナーも好きなはず)だが、文化系なラッパーでない人たちが愛や人生を優しいビートの上で語るのが好きってのがその理由だと思う。キャッチーで聴きやすい。
ベンジャジーのお家芸のアドリブ(合いの手)も密かに炸裂。ヤンハスほどではないが彼のアドリブはリスナーの耳を惹きつける特別な何かがある。バークのラップも安定していて堅調なスタンスを感じさせる。IOとC.O.S.Aというスターが名を連ねていて、タイトルのfeat. C.O.S.A. & IOの文字を見ただけでも滾ってしまう。C.O.S.A. & IOのラップはやはりこういうテーマの曲では相性がグンバツ。
IOのリリックが人生の指針としたいくらいシンプルかつ良いこと言ってるので非常に好き。K4L!
South Side Night feat. Tiji Jojo, eyden & Deech | 03- Performance | From Kawasaki
ジョジョが永田とDeechと共に03で発表。永田は相変わらず気だるさを漂わせるるもスタイリッシュに決めてきている。Deechも癖になる声質で一気に引き込まれるラップを披露。
てかジョジョが03に出演するのはいい意味で違和感があって新鮮だ。
Day N Night feat. G-k.i.d, guca owl & KEIJU
こちらも軽快なビート。ラップスタアでもビートを提供していたZOT on the WAVE & dubby bunnyの作曲。ShowyVICTORのGENZAIもあのビートがビクターの力強く真っ直ぐなラップを後押ししている。
G-k.i.dがある時期から爆発的にアーティスト性を高めてきた時期があったのだがあれはいつからだったろう。心地いい歌声は昔俺が抱いていたG-k.i.dの印象とは程遠い。
グカールがマジでイケてる。いつでもかっこいいな。声も好きだが、誰かに似てるんだよなぁ。誰だっけなぁ。とにかくグカールが渋すぎて個人的には後のKEIJUが霞んでしまうレベルだ。あと俺いまだにKEIJUのことYOUNG JUJUって言ってしまいそうになる。ヤンジュジュって言ってしまいそうになることもある。ヤンココみたいに。
MVの場所がゴルフ場っていうのも面白い。この一連の豪華客演楽曲リリースではMVにもそれぞれ特色があってバラエティも豊か。双子がアイデアを出してくるのか、はたまたクルーのみんなで意見出して考えてるのか。
Hell Yeah feat. Vingo, MaRI & Candee
こちらは典型的なパーティーソング(若者向け)。ビンゴの少し無軌道でアホっぽいリリックもなかなかバズやリスナーの耳への刷り込みが期待できる。ビデオの内容も永田のハウスパーティを彷彿とさせる。楽しそうだ。ちなみに「BADHOP ケツ」でYouTube上で検索するとこちらのMVが上位にヒットする。Hookの「ケツをふれ! ふれ! ふれ! ふれ!」がいちいちおもろい。ビンゴの表情も所々おもろい。
こちらも今をときめくMaRIとCandeeを迎えたものだが、さすがBAD BxxxhのMaRI姉、この手のテーマの曲は余裕シャクシャクでラップしている感がすごい。燻銀のいなたささえ感じる。Candeeも最近はコンシャスとは言わないまでも真面目な側面打ち出してきていたが、チャラい曲もやっぱカッケーな。ヘネシーに何を混ぜるのか。変なものは混ぜてはいけません。
NEW ASIAN feat. Vingo & OZworld
OZを迎えたSF感漂う「NEW ASIAN」。こちらは打って変わって前編アニメになっている。ゴルフ場だったりアニメだったり本当に毎日アップされる動画が多種多様で楽しい。
日本を飛び越えて、US・UKも飛び越えて、というかもはやヒップホップも飛び越えて、地球を飛び出してしまったビンゴとOZ。特にOZは前から思っていたがラッパーってレベルじゃねえぞ!ってくらいアーティスト性がヨンパない。LEXとかKOHH(千葉雄喜)と並べてもいいほど天才。さらに沖縄特有の神秘性を伴ったセンスも兼ね備えているため、まさに音楽界ではNEW ASIANって感じだ。フローも心地いい。
Shoot My Shot feat. Benjazzy, Eric.B.Jr & 漢a.k.a. GAMI
ギャングスタラップ曲にベンジャジー、Eric B Jr、漢を迎えたドリル曲。
またまたベンジャジーの登場。舐達麻からは金魚のフン扱い(=Dragon Ashでいうところのダンサー、ん?ダンサーだよね?楽器隊のことさすがに金魚のフン扱いしないよね、ジブ兄)されていたが、さすがに的外れなディスだったと実感する。なんなら今のところ楽曲では双子よりも活躍してんじゃん。アルバムのジャケでも着ていたっぽいPRADAを着用。
Eric Bはやっぱ怖い。でもラップは現代の本場のギャングスタラップを地でいってる雰囲気が超クール。漢のリリックとラップは漢の本領が発揮されてて最高。ベンジャジーの冒頭のリリック「味方よりも敵が多いリアルなB-BOY」は漢の「何食わぬ顔してるならず者」からのサンプリング。ほんと少しだけD.O.もスピットしているが、もっとD.O.にもかましてほしかったな。てかなんであの部分だけ歌ったんだ笑
BAD HOP × NITRO MICROPHONE UNDERGROUND – 8BALL CYPHER
キター!レジェンドの大所帯クルー、ニトロをも召喚してしまうのか。RPGの召喚獣の一番強いやつを召喚したみたいな感じだ。FF7でいうところのナイツオブラウンド召喚したみたいな感じだが例えがちょっと違うかもしれんが事件級だと思う。しかもクラシックのあの名曲をJIGGがアレンジしていてカッコ良すぎる。またもやベンジャジーがいる。
ニトロの面々もおじさんだがスキル面ではBADHOPに以外と負けてない部分もある。特にDABO。やっぱDABOはラップうますぎる。現行のビートにもガッツリ対応して乗りこなしていて超FRESH。SUIKENとDELIの声も久しブリに聴いた気がする。DELIはI LOVE THCとかSMOKE THCとか言ってたのに市議会議員とかすごいな、って前も書いたような気がするな。
DABOの次に聴き心地いいラップはジョジョ。ソロアルバムまた出してくれ。あとYZERRの声はなんなんだ。また新しい発声法?ボーカルのミックスか?でもリリックがフェノメノンとか引き合いに出してくれてニトロの面々やニトロ世代の先人たちへのリスペクトも感じる。フェノメノンとかスワッガーとか懐かしいな。シャカゾンビのBIG-Oは生前ミスタージェントルマンってブランドも手がけてたな。
いや、それにしてもこれほどまでのレジェンドを呼び出せるBADHOP、どんだけシーンの内側からプロップス得てんだ。
Mukaijima feat. YZERR, ANARCHY, Benjazzy, T-Pablow & AI
はいキター。AnarchyとAIも呼び起こしてきた。また召喚獣を呼んで厳かな儀式をしている。KINGの称号を得ているアナーキーとレジェンドかつ今もストラグルする日本屈指のフィメールAI。BADHOPの日本語ラップ界での歩みと解散は非常に意義深いものであると思うが、これほどまでのアーティストたちが解散に花を添えるとはマジで驚き。
BADHOPからしたら東京ドームでも演れて、しかもこんなに著名な、昔から憧れてたアーティストとコラボできるの死ぬほど嬉しいのではないだろうか。実際感慨深い感情がBADHOP側のラッパーの歌詞からも読み取れる。てかまたベンジャジーが参加してるな。3人のリリックを受けてのアナーキーもfateのセルフサンプリングし、なおかつアツいリリックで贅沢すぎる楽曲。YZERRにあっては自身のバースはなく、フックでAIと歌でユニゾンをかますというこちらもBADHOPにとっても贅沢なAIの客演。
アナーキーのホーム、向島団地をタイトルにしていることから、いかにBADHOPにとってアナーキーの存在が偉大なものであるかわかる。
Empire Of The Sun feat. T-Pablow & Zeebra
解散ライブで初披露となったジブラとパブロの楽曲。STUTSビーツべべと日本語ラップのクラシックのフレーズの擦り、超懐古的なリリックから始まるコーンロウジブラのラップが相まって、ブーパップ爺をまあまあ唸らせてくれる。こういう曲であることは予想出来ていたが、ジブラの歌詞がやっぱアツい。パブロもプリミティブなデリバリーで高校生ラップ選手権王者に返り咲いた名フレーズを冒頭に持ってきた。「ただラップがしたくて」の部分はZEBBRAにかなり寄せた発声になっている。まるでモノマネ親合戦、親子ででにゃつまらんぜと言いたいところだが、この曲は当事者親子で制作されているので無問題だ。
「腕っぷしじゃねえラップで なんのために来たと思ってんだここまで 役者がちげえんだよ 勘違いすんなよ小僧 俺は街のギャングをBADHOPにした男 ドンパブロ」の部分は舐達麻(バダサイ)へのアンサーだろうか。そうだとしたら今年に入って作った曲か。もしくはその部分だけ当初の歌詞と差し替えたか。どちらにしても東京ドームで披露するにはこれらの共演大フィーバーの楽曲達はまだBADHOPのメンバーや共演相手の体に全然馴染んでないような気がするがドームで披露するの大変だな。俺なら死ぬほど聞き込んで練習しても出来なさそう。そもそもモニターの音拾えなくてわけわかんなくなりそう。自分の声が自然とディレイしまくりそう。当たり前だけどプロすげえ。
We Rich feat. G-k.i.d, Yellow Pato, Kaneee & KOWICHI
解散した後も出ました。そしてKaneeeきたーー!忘れてたわ。今勢いがあってラップスタア誕生でYZERRにもベタ褒めされてたKaneee。そうだよな、そりゃフックアップされるよな。I can explain涙のワケ。KOWICHIとZOTにも褒められてたっけ。
JIGGのビートの上で全員がスムースに歌い上げてる。GキッドとパトはBADHOPのメンバーの中で最も成長を遂げた二人。なんつーかKawasaki Driftのときなんかはまだ完成されていなかったとさえ思えるほどだ。そして、マジで男気じゃんけんどんだけ好きなんだこの人たち。どんだけ言うんだよ。
パトはBOY-KENに似ている。声は似ていないけど。サングラスをかけるとさらに似ている。
KOWICHIもいつも通り耳障りがいいけど特徴的なフローでリスナーの耳を刺激してくる。川崎で有名になりたきゃ〜のラインは痺れる。
でもやはり個人的に最も好きなのはKaneeeのバース。歌詞じゃなくてフローと声がマジで聴き心地が良い。普通にラップしてなくても聴きこんじゃうからなぁ。アドリブとかスキャットとかかぶせも全部がいい感じに混ざってて耳を傾けてしまう。青のトレードマークがMVのコンセプトカラーになってるっぽいけどKOWICHIだけ白だな。てかKaneeeクージー好きだな。
東京ドームは最高だったっぽい。解散したけどまだ出てきた!
東京ドームにはやはり多くのラッパーたちが駆けつけてラップしたようだ。エグいメンツ。BADHOPの最後がここまでの大事だということにこのコラボを見て再認識した。上記の共演したラッパーたちのほとんどはもちろん、観客としても著名な音楽家が行っていたっぽい。
ニトロとの曲はやらなかったみたいだけど。あとOZとの曲もやらなかったのかな?でもOZは観客席にいたらしい。
SNSで少しライブ映像を見たが、東京ドームを埋めるのがいかにすごいことかわかった。ちょっとしたフェスよりフェスだったから予想されるメンツを考えりゃ埋まるわなって後になって思えるけど。でも音響的にはあんまりHIPHOPに向いてないのかな、という感じもした(まあ俺は行けてないんだけどね)。
東京ドームのセトリのプレイリストがSpotifyで公開されていました。
東京ドーム終わってもう解散したけどまだ発表していない楽曲もありそう。ドームで披露したAKとの曲はMVはまだ上がっていない。解散したけどまだMVがアップされる日々は続くのかだろうか。てか解散したのに未発表曲があるってどういう状況やねんって感じだが、WatsonやA-THUG、SNOZZZとの曲があるって噂もある。本当だとしたら川崎repのA-THUGとの曲は一番楽しみだ。
ファーストテイクの動画もかっこよかったな。
YZERRがミスしてたのも貴重だし、何よりやっぱゴエモンこと幸和のラップがマジでやばすぎるスキル。
東京ドームのライブが円盤もしくは配信で出るのが楽しみだ。
ONE PAN feat. Vingo, kZm, Benjazzy, Red Eye & Jin Dogg
とか思っていたらまた出てた。YZERRとJojoのタッグも出ててこれ以外ねえよなって思ってたらかましてた。ワンパンくらいたい?ってJojoがだっちゃん(SKY-HI)に物申してた頃が懐かしいな。
今が旬のSHUNって言われてたSHUNは今はダンサーらしいけど、そんなことは置いといて、RED EYEとジェイクが個人的には白眉。チーム友達とか言ってるけど絶対俺みたいなオタクは入れてもらえないほどの生野区のパワーがある。
Fam*ly feat. Tiji Jojo, DADA & LEX
出ました。DADAとLEXを迎えてのこれまた普遍的なテーマの人情的な曲。
DADAもLEXもこの手のビートなら安心感があるし温かみのある一曲に仕上がってる。俺はおじさんなので若い活力が枯渇しているのでこの曲が4Lの次に好きかも。
KAWASAKI SONG feat. DJ TY-KOH,Bark, T-Pablow, Benjazzy, JJJ, BIM & A-THUG
ついにきました!タイコー、JJJ、BIM、そしてエイドッグ!!
KAWASAKIの歌、「KAWASAKI SONG」。すげえ曲名だな。不肖私め、もはや今や日本のHIPHOPの聖地と言っても差し支えない川﨑に行ったことがないので随所に出てくるローカルな店やロケーションに馴染みがないのだが、それでも彼らのフッドをレップしようとする気持ちが感じられて嬉しい気持ちになってしまう。Barkもベンジャジーもやべえ。ベンジャジーアルバムの参加曲百発百中SWAGすぎます。
この一連の客演祭りで一番好きになったBADHOPのメンバーはBark。声も渋いしかなりのリリシスト。
そしてこのアルバムの客演の中で一番好きなのはJJJかもってくらい今回のJJJは俺の耳への食い込み具合がエグい。特にBADHOPとの曲の中でスピットされてることがいい刺激を与えてくれてるのと、トラックの相性も抜群だ。
BIMのところで曲の雰囲気が変わるのも特徴的。
そして特筆すべきはSCRASからA-THUGが参加していること。前々から噂はSNSを中心にあったけど、やはり満を持して川﨑メンバーと共に登場。そりゃ川﨑のラッパーといえばエードッグ、かなりバイブスが上がった。NYからありがとう。DJ MUNARIのYouTubeで近況は把握できてたけど最近は見てないな。A-THUG節が発揮されてて満足。
この曲が祭りの締めくくりっぽいけどこれで終わりなのかな?全体的にパブロが控えめだったしWatsonが入ってないけど、ソロで出してくるのだろうか。
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