Creepy Nuts at THE HOPE 2024: 熱狂と批評の狭間で揺れるHIPHOPの今

2024年9月21日、国内最大級のHIPHOPフェス「THE HOPE」で、クリーピーナッツが観客を熱狂させた。R-指定の圧巻のパフォーマンスはSNSでも大きな反響を呼び、彼らの存在感を改めて示した。しかし、その輝かしい舞台の裏で、彼らの音楽性に関する議論も静かに広がっている。今回は、熱狂と批評が交錯する彼らのステージを通じて、現代日本のHIPHOPシーンの複雑な様相に迫る。

国内最大級のHIPHOPフェス「THE HOPE」とは

「THE HOPE」は日本最大級のHIPHOPフェスティバルとして知られている。年々規模を拡大し、2024年にはお台場の特設会場で2日間にわたって開催された。このイベントの特徴は、新人からベテランまで幅広いHIPHOPアーティストが集結すること、そして音楽だけでなくダンスやファッションなどHIPHOPカルチャー全般を網羅していることだ。
メディア展開にも力を入れており、ABEMAでの生中継も行われた。チケットはイープラスやチケットぴあなどで販売され、多くのファンが参加した。

THE HOPEの全編・過去の公演は全てABEMAプレミアムで見れます。1日目の初っ端から7が可愛すぎました。その他、さらば青春の光の森田のTHE HOPE参戦模様、ラップスタアの裏側などの「限定公開動画」、その他ラッパー・DJに密着した「my name is」、「BADHOP1000万1週間生活」が面白すぎるのでオススメです。

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「THE HOPE」の魅力は、多様なアーティストのパフォーマンスを一度に体験できること、新たな才能との出会いの機会があること、そして会場全体が醸し出す熱狂的な雰囲気にある。これらの要素が組み合わさり、「THE HOPE」は日本のHIPHOPシーンを代表するイベントとして確固たる地位を築いている。

DJ RYOWが「知らざあ言って聞かせやSHOW」のREMIX feat. ZORNをかけたり、AwichがXGを召喚したり、孫GONGがYZERRに再度謝ったりライブでしか味わえない高揚感が満載のフェスだ。

Creepy Nutsの圧巻のパフォーマンス

「THE HOPE」で、クリーピーナッツのパフォーマンスが大きな話題となった。特にR-指定のラストパフォーマンスは圧巻で、SNSでも多くの反響があった。

そのハイライトのひとつが、アカペラで披露された「生業」。ビートがなくても一切揺るがないR-指定のフロウとリリックは、観客を一瞬で引き込み、会場全体を彼の言葉で支配した。さすが宇多丸チルドレン、喉の強さも群を抜いており、その声量とキレには驚かされた。キングオブステージさながら。アカペラできねえラップじゃねえのはMACCHOさながら。

冒頭のMCでも、HIPHOP警察を揶揄する発言が飛び出し、会場を盛り上げた。特にそのMCは、ライムスターのMUMMY-Dが武道館公演における「リスペクト」前に見せたトークを彷彿とさせるような仕上がりだった。

また、様々なスタイルの存在を肯定しながらも、レイムなラッパーに対しては辛辣な批判を投げかける姿勢を見せていた。スキルと努力を尊重し、HIPHOPの本質に迫ろうとする彼らのスタンスが際立った瞬間でもあった。

今回の「THE HOPE」でのクリーピーナッツのステージは、彼らが現代HIPHOPシーンにおいて欠かせない存在であることを改めて証明するものとなった。

生業」におけるディスの対象として、俺が認識しているのが、何年前だったか忘れたが、Lick-Gのフリースタイルダンジョンのライブにおいて、音源垂れ流しで自身では全く歌わず、挙句のはてに白目を剥いて狂ったように踊るというパフォーマンスを行ったことに対してであると認識している。

今やラッパーのライブにおいて、ラップ入りの音源を掛けてその上から被せたり、たまには歌わずに休止をはさんだり、もはや今のHIPHOPのライブにおいては別に歌わなくたっていいような雰囲気が当たり前だし、実際問題、本場のトラヴィス・スコットのライブはトラヴィス本人は全然歌わない。

THE HOPEのライブにおけるCreepy Nutsのプレイリスト

  1. 合法的トビ方ノススメ
  2. ビリケン
  3. 松永タイム
  4. Bling-Bang-Bang-Born
  5. アツいMCから生業

クリーピーナッツの変遷:HIPHOPからの逸脱とR-指定の才能

個人的には、Creepy Nuts自体はHIPHOPではないと思っている。彼らの音楽にはラップの要素が少なくなってきているし、メジャーに進出して人気を得る中で、ポップな方向に向かうのは当然だとしても、HIPHOPの本質からは遠ざかっている感は否めない。

例えば、アルバム『アンサンブル・プレイ』についても、一つも好きな曲がなかった。何度か先行シングルも聴いてみたが、どうしても途中で飛ばしてしまい、最後まで聴けたことがほとんどない。

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とはいえ、R-指定単体で他のラッパーの曲に客演する時は、驚くほどのパフォーマンスを見せることが多い。例えば、テークエムの「それじゃ無理」などで見せたR-指定のラップは、まさに神がかっていた。彼のスキルや才能は間違いなくトップクラスだが、クリーピーナッツとしての音楽がポップ路線に寄ってしまった今、その実力が十分に発揮されていない印象がある。

正直、クリーピーナッツがハーコーなプレイヤーからディスソングを出されてもおかしくないと思っている。たとえそれが売名行為だろうと、ガチのストリートな性格を持つディスだろうと驚かない。実際に、MOL53(RAWAXXX)にそのセルアウトなHIPHOPマナーをディスられたこともあったが、俺としてはその指摘は的を射ていたと思う。

さらに言えば、Eric.B. JrやRYKEYDADDYDIRTY、Playssonといった硬派でサグめなラッパーたちからのディスがあってもおかしくない。大々的にはディスられていないのが不思議だ。ずっとその瞬間を待っているが、今のところ大きなムーブメントにはなっていない。クリーピーナッツがHIPHOPから離れたことで、ディスする意義を見いだせなくなっているのかもしれない。

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