フリースタイルダンジョンでジブラが泣いたワケ

巷で話題沸騰中のフリースタイルラップバトルだが、その知名度を一気に引き上げたのが、「高ラ」こと「高校生ラップ選手権」と「フリースタイルダンジョン」である。

そんなフリースタイルダンジョンの9回目の放送で、焚巻VS般若の熱すぎるバトルが行われた後、審査員のLily、晋平太、そしてZEEBRA(「し」に濁点で棒で「ふ」に濁点で「ら」は濁点はなくて。鼻息荒いシマウマは昔はジーブラと名乗っていたのだ。しかし周りや世間から「ジブラ」と言われ初めて、訂正するのが面倒くさくなって「ジブラ」と名乗るようになったらしい。ANATOMIAくんも「ジーブラさんですか?」って言ってたけどそれで本当は間違っていないのだ!ラップをしてて、フリースタイルの大会出るまでスキルあるのにジブラを知らない人がいるなんて、時代は変わったなぁ)が泣いていた。それを見て僕の目からも涙が。勝手にジブラの気持ちを忖度して泣いた。

何であの3人は泣いたのか。

ジブラは、般若が久方ぶりにフリースタイルをして、その見るものを圧倒するバイブスを地上派のテレビで披露したことに対して思うところがあって泣いたんだと思う。ジブラと般若の関係は般若が高校生?のときから、しかも特別な出会い方で始まっているし、他の誰よりも般若がテレビでフリースタイルをすることに対して思い入れがあったのだろう。

般若個人に対しての思いから、ジブラは落涙した。それもある。ただもう一つのファクターとして「地上派のテレビで」この番組が放送されているという点もヘッズ的には感動に値する。Lilyや晋平太は特にこの点で涙を流したんだと思う。

日本語ラップ黎明期から活動するジブラやYOU THE ROCKは、「お茶の間」と「リアルでコアな日本語ラップ」のリンクを形成するために辛酸を舐めてきたはず。世間にヒップホップを広めるため尽力してきた。今でもANATOMIAのような高校生は別にして、世間の大人たちが思い浮かべる日本人ラッパーの有名のフレーズは「俺は東京生まれHIPHOP育ち悪そなやつは大体~」だ。ライムスターの宇多丸がラジオで言っていたが、このラインはあくまでヒップホップをよく知らない一般の人に向けて、わかりやすい、かつ、インパクトを与えるような一見アホそうとも言われそうなラップを「あえて」ジブラは歌っている。実際ジブラはアホではない。心の底ではこんな歌詞を歌いたくなかったかもしれない。しかし、良くも悪くも、このラインのおかげで、ジブラはドラゴンアッシュと一緒にヒップホップを世間に広める目的を果たした。
2006年~2007年には日テレでくりぃむしちゅーの有田と番組をやったり、その他テレビに出ることも多い。


フリースタイルダンジョンにおける焚巻VS般若はヒップホップがもつアンダーグラウンド(ストリート)な色気を十分に写しながらも、その飾らないかっこよさをお茶の間にありありと提示した。あのバトルは正直、誰がどう見ても、MCバトルが初見でも、ヒップホップをあまり知らなくても、よほどひねくれていない限り、素直に「カッコイイ」と思えるものだった。あれを見て、ヒップホップって本当最高だと思った。そして「ヒップホップ最高かも」「ヒップホップ、なんかイイ」と思う人が、絶対に増える思った瞬間でもあった。

ラッパーについて「悪そうで、馬鹿そうで、斜めにキャップを被っているどうしようもない人たち」、「日本でラップするなんてキモい、ダジャレみたいで寒い、ネタでやるなら笑えるけど、ガチでやっていると引く」「うけつけない」っていう人は日本には一定層いて(悪くいうつもりはないが)、そんな人たちに「ラップやっている」「ラップが好き」なんて言って馬鹿にされたり、変な目で見られたりして、悔しい思いをした経験がある人は、あの圧倒的なバトルを見て落涙を禁じ得なかったはず。色んな感情を呼び起こすようなバトルだった。夢持って毎日あくせく働いてる人の気持ちになると、焚巻の言葉が本当に心に染みる。あのカタルシスは映画「サイタマのラッパー」のそれとも通ずるところがある。
ラップ馬鹿にしていた人も見方が少しは変わったのでは。Lilyと晋平太もこの点で感動したんだろう。こんなに最高の形で日本語ラップ、フリースタイルラップバトルが紹介されるなんて、あの放送でジブラの夢も少し叶ったのではないかな。

このフリースタイルダンジョン、今週からyou tubeでの配信が翌週配信に変わってしまったよう。しかし火曜日の放送直後2時からAbema TVで無料で誰でも見れるとのこと。また収録会場が新木場STUDIO COASTに変わったため観覧が当たりやすいらしい(ZEEBRAのツイッターより)。

このAbema TV、ライムスターの宇多丸も水曜日の深夜に番組を始めるようで、どういうメディアなのかいまいちわかっていないが興味津津である。

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